1.概論
2.アセスメントの重要性について
3.検査について
4.ソフトスキルの重要性について
5.フォーマル検査を支援に活用する事例について
研修報告5 フォーマル検査を支援に活用する事例について
まず、PEP-3を活用した支援事例は、特別支援学校の幼稚部の年中児の事例です。PEP-3の結果、二語文、物の名前、色の名前の理解、大小の区別が合格、物の名前を言われて指さす、絵を見て物の名前を言う、自分の声のまねをされる、音声模倣、単語の模倣などにめばえがあった。表出言語、理解言語に苦手が見られました。
これらの結果から、指導内容や指導方法を決定し、実践を行っていました。実践で印象に残っている出来事としては、教師が対象児童の好きなこと興味を持っていることを保護者の聞き取りをもとに準備し、楽しんでできることを一緒に行うことから着手していったところです。その後、学校生活の様々な場面をとらえ共感する実践を広げ、実践の最後には教師が知らない出来事を身振りや言葉で表出してもらい、教師がコミック会話を用い、状況把握と対象児童の思いを理解する実践にまで指導が広がっていったところです。表出言語をイラストや写真、文字とマッチングさせながら理解言語を増やしていった方法がとても参考になりました。
次にTTAPを活用した支援事例は、社会福祉法人の生活介護と就労移行支援事業所の事例です。生活介護ではTTAPでアセスメントするとともに、氷山モデルを用いて問題行動を特性から考えるプロセスを丁寧に行い、本人の障がい特性に合わせた方法で作業を提供したり、休憩時間の構造化を行っていることが印象的でした。
就労移行支援事業所では、公共施設で実習を行う前に、支援者が実際の現場で実習を行い、組織システムや環境刺激、物理的環境や職務内容、人間関係や雰囲気など環境を十分にアセスメントすることを聞き驚きました。そして、TTAPのチェックリストに基づき、本人の芽生えの活動を合格にするための丁寧な課題分析による視覚的構造化や指導方法など、とても参考になりました。
また、一般就労を目標に取り組まれている中で、活動の振り返りをスタッフの方と面談で行い、本人が客観的に自分を評価したり、他者評価と自己評価をすり合わせたりしながら、自分で自分のナビゲーションブック(サポートファイルのようなもの)を作成するそうです。自分のことを知り、合理的配慮を求めることができるようになることは、社会生活において大切なスキルだと思います。